ついに歴史の幕を開けた、Bリーグ初のドラフト会議。
しかし、その結果は多くのファンにとって予想外のものでした。
「志望者108名に対し、指名されたのはわずか11名」
「1巡目で指名を回避(辞退)したクラブが続出」
SNSやメディアでは、「盛り上がりに欠けた」「制度として失敗だったのでは?」というネガティブな反応も少なくありません。
確かに、エンターテインメントとしての派手さはなかったかもしれません。
しかし、BaskeTalkJapan編集部は、この結果を全く別の視点で捉えています。
「これは失敗ではない。Bリーグの各クラブが、目先の話題性よりも『経営と育成のリアル』を優先できるほど成熟した証拠だ」と。
なぜ指名数が伸びなかったのか? その裏にある「特別指定選手制度」との兼ね合いや、2026年から始まる「B.革新(B.LEAGUE PREMIER)」の影響まで、構造的な要因を徹底解説します。
この記事の結論
今回のドラフトは「盛り上がらなかった」のではなく、クラブ側が「無理に盛り上げに行かなかった」。
「特別指定」という既存ルートの優秀さと、「B.革新」に向けたシビアな投資判断が機能した結果であり、これはリーグが健全化した証である。
1. 「指名率10%」の衝撃。なぜこれほど少なかったのか?
まずは、今回のドラフト結果のファクトを冷静に分析します。
- ドラフト志望者:108名
- 本指名選手:11名(指名率 約10%)
- 1巡目指名回避:8クラブ
この「少なさ」を生んだ背景には、Bリーグ特有の2つの構造的な理由があります。
理由①:NBAとは違う「ロスター枠」の重み
NBAのドラフト(2巡目まで計60名)は、世界中から才能を集めるためのものです。
一方、Bリーグのベンチ入り枠は「10〜12名程度」。そのうち外国籍選手や帰化選手を除くと、日本人選手枠はさらに限られます。
各クラブはすでに主力選手を抱えており、「即戦力でない新人を、育成枠として抱える余裕があるクラブ」は実はそれほど多くありません。
「指名しない」という判断は、選手の飼い殺しを防ぐという意味で、非常に理にかなった選択だったのです。
理由②:「特別指定選手」という“裏ルート”が優秀すぎる
Bリーグには、ドラフト以前から機能している最強の採用ルートがあります。
それが「特別指定選手制度」です。 ドラフト vs 特別指定選手
| 比較項目 | ドラフト指名 | 特別指定選手(従来) |
|---|---|---|
| 獲得コスト | 契約金・育成コストが発生 | 低コスト(アマチュア契約も可) |
| リスク | 獲得まで実力が未知数 | 活動期間中に実力を見極められる |
| 拘束力 | 交渉権獲得=契約交渉へ | お試し期間を経て本契約か判断 |
クラブからすれば、「ドラフトで一発勝負で獲るより、特指で呼んで、練習に参加させて、性格やフィット感を見てから契約したい」というのが本音です。
この優秀な既存ルートがある限り、ドラフト指名が慎重になるのは必然と言えます。
2. 「B.革新」の影。クラブはなぜ“冒険”しなかったのか?
もう一つ、見逃せないのが2026-27シーズンから始まる構造改革「B.革新(B.LEAGUE PREMIER)」の影響です。
「育成」より「事業」へ投資したい時期
新リーグ(B.プレミア)への参入条件は、競技成績(強さ)ではなく、「入場者数」「売上高」「アリーナ」です。
今、多くのクラブにとって最優先事項は、「数年後に化けるかもしれない新人」への投資ではなく、「今すぐ客を呼べるスター選手」や「集客スタッフ・演出」への投資なのです。
「ドラフトで話題作り」をする余裕があるなら、その予算をマーケティングに回したい。
今回の「指名回避」の多さは、各クラブがB.革新に向けてシビアな経営判断を下している証拠でもあります。
3. それでも「開催した意味」はあったのか?
「じゃあドラフトなんてやらなきゃよかったのでは?」
そう思うかもしれませんが、BTJ編集部は「開催した意義は大きかった」と考えています。
① 「タンク(わざと負ける行為)」の防止
今回のドラフトは、指名順位を完全ウェーバー(最下位から順に指名)ではなく、抽選方式を含めた設計にしました。
これにより、「負ければ負けるほど良い選手が取れる」というNBAのようなタンク行為を防ぐ意図が見えました。
リーグの品位を守るための、日本的な良調整だったと言えます。
② 「コンバイン」による能力の可視化
ドラフトに先立って行われた「ドラフトコンバイン(身体能力測定・スクリム)」。
これにより、知名度が低い選手でも、数値(ジャンプ力、スプリント等)で評価される土俵ができました。
今回は指名されなかったとしても、このデータは今後のB2・B3クラブからのオファーに必ず繋がります。
BTJ編集部の偏愛視点:これは「Jリーグ化」への第一歩だ
ここで、Baske Talk Japan編集部独自の視点を挟みます。

編集長
僕が一番注目したのは、「ユース優先交渉権」が尊重されたことだね。
自分たちで手塩にかけて育てたU18の選手を、ドラフトで横取りされずに確保できる。
これは、NBA(大学・海外からの供給がメイン)よりも、Jリーグ(自前のアカデミーからの昇格がメイン)のモデルに近い。
「よそからガチャで引く」のではなく「自分たちで育てる」ことを推奨するリーグの意志を感じたよ。
派手さはないけど、日本のスポーツ文化にはこの方が合っているはずだ。
コミュニティの声:コアファンは冷静、ライト層は?

ライトファン
テレビで「運命のドラフト!」って煽ってた割に、スルーされまくりでちょっと拍子抜け…。もっとこう、クジ引きでドラマが生まれるのを見たかったなぁ。
いやいや、無理に指名して1年で契約満了になる方が可哀想でしょ。B1のレベルはもう「大卒即戦力」でも簡単には通用しないところまで来てる。
「該当者なし」と言えるGMの勇気を評価したいね。

玄人ファン
まとめ:本当の勝負は「3年後」のコートにある
今回のBリーグドラフトは、「盛り上がらなかった」のではありません。
クラブ、リーグ、そして選手たちが、それぞれの立場で「現実的な最適解」を選んだ結果です。
- 若手を「消費」しない
- 「話題性」より「チームビルディング」を優先する
- 育成(ユース)への投資を保護する
こうした「地味だけど正しい選択」ができるリーグになったこと。
それこそが、開幕10年目を迎えようとするBリーグの成熟の証です。
そして、今回指名されなかった97名の選手たち。
彼らにとって、これは終わりではありません。B3リーグや練習生から這い上がり、数年後にB1のスターターとしてドラフト組を圧倒する。
そんな「下克上のドラマ」こそが、これからのBリーグを面白くするはずです。

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